たとえば、高校生の頃、別にケルアックの「路上」や五木寛之の「青春の門」を読んでいなくても旅に憧れたりするじゃないか。それでもって卒業を機に一人旅に出たりする。やっぱり北がいい。仙台や盛岡のような川のあるきれいな街がいい。でもって、冬の日の雪雲がたれ込める暗い日なら特にいい。感傷に浸りながら歩いていると雪解けの水溜りに足を突っ込んだりして靴を泥まみれにしたりする。やっとの思いで素泊まりの安宿にたどり着き、風呂があると聞き寒空に凍えていた体を温められることに感謝し、一人の見知らぬ老人と湯船で世間話を一言二言交わす。暇なのか、8畳程の広い部屋に自分一人分の布団を敷き横たわる。
 ここまではカッコいいじゃないか。その後大学に行ったり、就職したりして、その過程で重い人間関係や借金や嘘に悩んだり悩まされたりしながら現実を垣間見る。こんなはずじゃなかったのに。そこには、もっとカッコいい自分がいるはずなのに。何度も自問してみるが結論は出ない。
 でもよく考えてみればそんなわけないことに気が付く。スマートに生きようなんて考えるのはやめたほうがいい。「俺は男だ!」って叫んでいた森田健作や「俺達の朝」の森川正太の様に生きればいいじゃないか。カッコ悪くっても一生懸命、嘘ついたりごまかしたりしながら生きてるのがとっても素敵だったりする。所詮男なんてミミッチクカッコ悪いもんなんだ。たとえさえなくってイケてなかっても、ロマンチックに大きな夢を抱きながら生きていれば彼の一生は輝くものになり得る。もし、学校でいじめられていても、10年後にそこにいないことに気づくべきだ。ひょっとしたら過去を振り返って笑っている自分がいるかもしれない。

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